神戸新聞  2006年(平成18年)5月15日 月曜日


心癒やす水滴のリズム

共鳴に優れた水琴窟 赤穂の造園業者 県の支援受け開発


長棟造園が開発した水琴窟。「大勢の人に日本の庭園文化に興味を持ってもらえば」と長棟社長は話す=赤穂市塩屋
共鳴音に優れた水琴窟を赤穂市の造園会社、長棟造園が開発した。兵庫県の支援を受け、水音を響かせる水がめの厚さなどを工夫。大きな音が響くのが特長といい、ホテルなどに販売する。

水琴窟は、茶席の待合などで手を洗った水を、地中に埋めたかめに落とし、共鳴した水音を楽しむ。伝統的な庭園施設だが、かめを埋設するため手入れしにくく、騒音が多い場所では水音が聞こえにくい。
長棟成光社長(58)は以前から地上に置け、大きな水音を響かせる水琴窟の製作に挑戦。アイデアが二〇〇五年度の県の景観園芸産業ビジネスモデル実証支援事業に認定され、昨年五月から本格的な開発に乗り出した。
水滴をかめに導く円盤状の石である「鳴り板」を工夫。水がゆっくり動き、大きな水滴を形成するように板を磨き上げた。板には数本の溝を刻み、小さな水滴もできるようにし、大小の澄んだ音がリズミカルに響くようにした。
音を響かせるかめは、姫路城での発掘品を参考に大きさや厚みを研究。2㍍ほど離れた場所からでも水音が聞こえる共鳴力に優れた水琴窟を完成させた。洗面所に使っている一般の家庭もあるほか、「日本の音文化が手軽に楽しめる」として関心を示す外国人も多いという。

「忙しい現代人にゆったりした時間を過ごしてほしい」と長棟社長。